【別府】別府市の立命館アジア太平洋大(APU)大学院に通うヒジラ・サプトラさん(35)が、別府観光の魅力や暮らしをPRする本「地獄の街での足跡」を母国インドネシアで出版した。新型コロナウイルスの影響で来日できなかった半年間に執筆。恵まれない子どもたちの支援に収益を充てた。
Hijrah Saputra dan Dissa Syakina |
春休みに入った2月中旬に首都ジャカルタに戻ったが、新型コロナで4月になっても来日できなくなった。感染状況が深刻で外出も一切できなくなり、オンライン授業の日々が続く中で「本を作ろう」と思い立ったという。
2018年秋に入学して以来、たびたび母国のネットメディア向けに日常を発信していた。地獄めぐりなどの主要観光地の様子、年末の鏡餅作りなど、会員制交流サイト(SNS)に投稿した過去の写真も含めて1カ月ほどで一冊の本に仕上げた。
日本の地名で知られているのは東京や京都などの主要都市が中心。多くの人が別府の地名を知らず、別府の話題は新鮮に感じられたようだ。裸で入る日本式の温泉文化や、地獄めぐり、地獄蒸しのように自然を観光資源に生かす点に反響があったという。
ヒジラさんは「悪いイメージの『地獄』のタイトルと観光という単語が本を読むことで結びつき、別府の地獄に好印象を持ってくれた。新型コロナが収束したら別府に遊びに来たり、APUに入学する人が増えてほしい」と期待する。
妻のディサ・アダニサさん(30)=APU大学院生=も同じ時期に「新しい冒険」と題した本を出した。中央アメリカ、ニカラグアで13年に実施した英語教育ボランティアの体験を、当時の日記で振り返った。ディサさんは「母国を担う次世代の役に立ちたい」と話した。
本はいずれもインドネシア語。ヒジラさんは製本した100冊、ディサさんは200冊を完売。追加販売を検討するという。
<メモ>
ヒジラさん、ディサさん夫婦は春から約半年間、インドネシアでオンライン授業を受けて過ごした。ジャカルタを8月末に出国、東京都で2週間ほど滞在し、9月11日に別府に到着した。
※この記事は、9月16日 大分合同新聞 12ページに掲載されています。
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